「タイ」と名のつく魚は多けれど、本物のタイは一部だけ?

気品と風格を備えたマダイ(真鯛)。慶び事には欠かせませんが、私たちが「タイ」と呼ぶ魚はマダイだけじゃありません。
「タイ」と名のつく魚は、なんと200種類以上。マダイが属するスズキ目タイ科の魚以外にも、アマダイ科のアマダイやキンメダイ科のキンメダイなど、挙げだしたらキリがありません。

でも本当は、マダイの仲間であるタイ科の魚は、10数種類ほどだけなんです。

祝い事には欠かせないマダイの仲間

(マダイ)

祝い事に出てくる50cmを超えるような赤いタイは、その多くがマダイです。北海道の一部や琉球列島を除く日本全域、中国沿岸や東南アジアの一部など、タイの中でも生息範囲の広いのがマダイの特徴。

平成29年における天然のマダイの漁獲量は15,200トンですが、養殖もののマダイの収穫量は62,700トン(農林水産省)。
今では養殖技術の進歩により、養殖のマダイの方が市場に多くみられるようになりました。

マダイの仲間として、20~30cmと小型のチダイ(血鯛)や、レンコ(連子)と呼ばれるキダイ(黄鯛)が挙げられます。鰓(えら)ぶたの後縁が赤く色づくチダイは、祝い膳でマダイの代用として重宝されます。

他方黒いタイで代表的なのは、チヌとも呼ばれるクロダイ。沿岸魚で、水深50m以浅の浅海の砂泥地に生息するクロダイは、独特な釣り方があるなど釣趣(ちょうこう)もあって、釣人に人気の魚です。食魚としての評価はマダイほどではないようですが、洗い、刺身として喜ばれます。

タイを名乗るがタイではない!?

(イシダイ)

タイ科の魚以外にも、「タイ」と名のつく魚はいます。魚の中でもっとも多くの種を抱える「フエダイ」や、磯釣りの好対象魚である「イシダイ」や「イシガキダイ」は、イシダイ科の魚です。水族館でも見かけるイシダイやイシガキダイは薄切りにした洗い、刺身として食されます。ただし大きいサイズものは、シガテラ毒を持つことがあります。

水族館で見かけるイットウダイ科のエビスダイも、「タイ」と名のつく魚。しかし、鎧のように鱗が硬くて、こちらは食用としてほとんど流通しません。

「タイ」を名乗る魚が多いのは、マダイにあやかり「タイ」からと思われますが、「タイ」の名の由来は「平たい」体形のためとか、「めでたい魚」だからなど、諸説あります。江戸時代には「人は武士、柱は檜、魚は鯛」といわれ、魚の代表的存在のタイ。マダイの「マ(真)」はタイの代表を意味します。マダイはまさに魚の王者です。

刺身だけじゃないタイの料理法

お正月や結婚式などで祝い鯛として提供される尾頭つきの塩焼きは、マダイ料理の象徴です。
刺身で食べることも多いのですが、いずれにしても、ほとんど捨てる部位がないのがマダイの特徴です。鯛の頭や骨などのアラからとれるスープを利用した鯛あら汁や、鯛と素麺を盛り合わせた鯛麺、鍋に入れた鯛と米を味つけした出汁で炊く鯛飯など、料理の種類も多く、マダイは日本人の目と舌にもっとも好まれている魚の1つといえるでしょう。

(鯛飯)