切れがいい出刃包丁を持っていないと魚はさばけない、焼くか煮るかでしか魚を調理したことがない、だから魚の調理がニガテ……そんな風に”魚を調理すること”を難しく考えていませんか?
umito.は3周年記念のリニューアル特別号として、銀座の鮨屋「龍いち」の大将が家庭でも簡単にできる魚の調理の仕方を伝授します。
堅苦しく考えずに魚の調理を楽しむ、「魚カジュアルクッキング」のはじまりです!
【下処理】
1.アジのぜいご(尾近くのギザギザの部分)を取る
2.うろこを軽く取り、水で洗う
3.頭を落とし、腹に切り込みをいれて内臓を取りだす
4.尾を落とし、流水で洗う
【三枚おろし】
腹(1)→背(2)→背(3)→腹(4)の順番でおろす
1.腹側から背骨と腹骨をはずす
2.上側の身を支えるように軽く持ち上げて背側からおろす
3.皮面を上にし、背骨に沿って包丁を入れる
4.腹側からも包丁を入れる
5.刃先を上に向けてそぎ落とすように、腹骨を取る
【サク取り】
1.骨を抜く。骨抜きの代わりに、小骨を包丁で切り落とすこともできる
2.身の水分をキッチンペーパーに吸わせる(強く押さえないこと)
3.包丁の背をつかって皮をはぐ(皮に食酢を塗るとはがしやすくなる)
4.盛付の際、尾の辺りの身は筋が強いため、切込みを入れ食べやすくする
【調理のワンポイント】
・包丁は、少し固めのものを選びましょう。押して、しならないぐらいの硬さは刃先から指先まで直接魚の骨の感覚が伝わってくるため、出刃包丁と特性が似ています(動画ではペティナイフを使用しています)。
・ぜいごは最初にはずしておいても、あとから血合いと一緒にはずしてもよいでしょう。
・魚の生臭みの原因になるのは、水分と血合いです。血合いの部分を取り除き、余分な水分を除くことで食べやすくなります。生姜・ネギ・大葉などの薬味と一緒に食べるとさらに生臭みを消すことができます。
【下ごしらえ】
1.新鮮なお刺身用のアジの切り身の表面に砂糖をまぶし、冷蔵庫に30分程置く
2.アジの身から水が出ていることを確認し、流水で洗い、水気をしっかり取る
3.塩をまぶし、15~20分冷蔵庫に置く
4.塩を洗い流し、キッチンペーパー等で水気をしっかりとる。
5.皮を剥く。皮に食酢を当てておくと剥きやすい
【燻製の手順】
1.フライパンにアルミホイルを敷き、底が隠れる程度に燻製チップを敷く
2.強火にかけ煙が上がったきたら、煙をボウルで覆い、30秒ほど充満させる
3.弱火にし、金網に乗せたアジの身をフライパンに乗せ、ボウルをかぶせる
4.1分ほど燻し、鍋つかみでボウルをはずす
5.手早くアジの身をキッチンペーパーとラップでつつみ、煙をなじませる
6.一晩ほど冷蔵庫で置くと煙がなじむ
【調理のワンポイント】
・フライパンとボウルは口径が合うものを使用します。フライパンに直接燻製チップを敷くと、フライパンに煙の臭いがついてしまうので、アルミホイル敷いてください。
・砂糖も塩も強く刷り込まず、優しく広げるようにしましょう。
・ボウルの中にあらかじめ煙を充満させておくと、燻製の香りを効率よくつけることができます。魚の大きさによって時間を調整してください。動画の大きさのアジで約1分です。
・わさび、粒マスタードの薬味が合います。
【手順】
1.魚の身を強火で焼く(焼き過ぎなくらいでOK)
2.魚の身を取り、細かくもみほぐす。皮がついてくるようなら、皮ごと入れてもよい。小さい骨は注意して取り除く
3.2でできた魚のほぐし身と同量の味噌を混ぜる。味噌となじませながら、ほぐれていない身があればほぐす。(ハンバーグを作るような感覚)
4.砂糖を混ぜ合わせる。味噌のしょっぱさと砂糖の甘さがぶつかるところを、味見しながら調整する
【おいしく作るためのワンポイント】
・今回は鯛の頭のアラを使用しました。鯛は顔の周りに筋肉が多く、身が比較的豊富に取れます。
・味噌の量は、味噌っぽい味に作りたい場合は味噌と砂糖を多めに、魚のほぐし身メインで作りたい場合は、味噌と砂糖を少なめに作ると良いでしょう。(今回は魚のほぐし身、味噌、砂糖の割合は1:1:1)
・冷蔵庫で少し寝かせると味が馴染んで美味しくなります。
(銀座龍いち:平山さん)
千葉県・南房総生まれ。
小学校の頃から、学校の授業前と下校後に魚釣りに行くほど魚に触れて育つ。
当初はイラストレーターとして働いていたものの、手仕事×魚好きを満たす鮨の道に転向し、銀座の高級店と大衆店の両方で腕を磨く。両国の鮨割烹の料理長として活躍後、2019年夏、銀座龍いちの大将に。
銀座龍いち:https://www.sushi-ryuichi.com/