因幡街道(若桜往来)
【ルート】鳥取県鳥取市~兵庫県姫路市
鳥取で水揚げされた鯖は塩を施して、現在の国道29号にほぼ対応する「因幡街道(若桜往来)」を経て、山間の町に運ばれました。
日本海に面した鳥取市・酒津(さけのつ)漁港周辺では、今も手作業で因幡地方の伝統食「因幡の塩鯖」を作っています。ひとつひとつ手洗いし、季節に応じた温度の冷水に一晩浸すことで徹底的な血抜きを行い、手振りで塩を振って仕上げた塩鯖は、「塩鯖の概念」が変わるほど、ジューシーな美味しさ。鳥取市民が愛してやまないソウルフードです。
鳥取県東南部に位置する山間の町・若桜(わかさ)は若桜鬼ケ城の城下町として整備され、江戸時代以降、若桜街道の宿場町として栄えました。今でも白壁の土蔵が並ぶ風情ある町並みが残り、歴史散策が楽しめます。
この町の名物は「さば天うどん」。行商人が運んできた塩鯖を天ぷらにして、当時は具がなかった「すうどん」にのせてみたのがはじまりだそうです。
カリッと揚がった鯖の天ぷらが、しっかりした風味のだしにしみると、うどん全体にジュワッと旨みが広がります。お腹の底から元気がでてくるような味わいです。
若桜から戸倉峠を越えると兵庫県播磨地方に入ります。山間部の郷土料理は「鯖寿司」。尾頭付きの鯖を塩漬けにして酢飯を詰め、重しをして寝かせて仕上げます。4、5日味をなじませたほうが美味しいという鯖寿司は「播州くされ寿司」ともいわれ、秋祭りに欠かせないご馳走です。
(文 薬膳アテンダント/ 全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ 池田陽子)