2017年は半世紀ぶりの凶漁と言われたサンマ。
今年の7/10に水揚げされた初物は、キロ3万3千円と過去最高値という報道がありました。
一方で、今年のサンマ漁は昨年よりも増えるという予報もあります。
海の中はどうなっているのでしょうか?
知っているようで知らないサンマの話。
(出典 水産研究・教育機構)
秋の味覚、サンマ。
日本の食卓にとって欠くことのできない食材ではないでしょうか?
しかし、サンマがどういうところを泳いでいる魚なのかご存知でしょうか?
上の図は、サンマの回遊範囲を示しています。
緑色の海域のエサを食べて育つ場所(夏季)や、オレンジ色の海域の産卵場や生育場(冬季)に行けば、実際にはサンマがたくさん獲れるわけではありませんが、実に広範囲を泳いでいる魚なのです。
皆さんが食卓で食べているサンマは水色のEEZ(日本の排他的経済水域)で漁獲されたものが、供給されてきました。
一方で、ピンク色の部分が、台湾や中国をはじめとする外国の漁船が獲っている漁場となります。
この海域は「公海」といって、漁獲量等のルールが決まっていなければ、「公海自由の原則」が適用されるので、どれだけサンマを獲ってもよいのです。
このため外国の漁船がここに集結してきているのです。
(出典 水産研究・教育機構)
この上の棒グラフは、サンマの国別漁獲推移を表しています。
棒グラフの赤い部分が日本の漁獲量です。
2017年はその比率は約3割に下がってしまいましたが、10年前の2007年は約6割、20年前の1997年は約8割が日本の漁獲量だったのです。
グラフを見ると、全体の漁獲量が減りながら、かつ日本の漁獲量の比率が減っていることが読み取れます。
特に日本の水揚げ量が減ってしまっているのです。
(出典 水産研究・教育機構)
昨年(2017年)のサンマの資源量は86万㌧と前年(2016年)の178万㌧、一昨年(2015年)の227万㌧に比べて大幅に減少しているという調査結果が出ていました。
このため、昨年の不漁は、予めある程度予想されていたのでした。
一方で、今年(2018年)の資源量は205万㌧と昨年より大幅に増えています。
しかしながら、棒グラフ(資源量)と折れ線グラフ(漁獲量)の相関関係をみてみると回復という段階にはまだないことが読み取れます。
昨年比だけでみてしまうと、何割や何倍増と漁獲量が増えると「豊漁」という報道になってしまうことがあるのですが、冷静に10年前、20年前までの漁獲量とも比較した上で考えていかないと、いつの間にかサンマが減ったことに慣れてしまう恐れがあります。
サンマを食べ続けられるための仕組みを考えて行かねばなりませんね。