世界で一番漁獲量が多い白身魚ってご存知でしょうか。
それはスケトウダラ。
日本ではカマボコやチクワの原料として知られています。
でもスケトウダラを切り身で見かけることはほとんどありません。
一体なぜ?
スケトウダラは淡泊で美味しい魚。
ただ、一度に大量に漁獲されるため、漁獲後すぐに処理できて、大量生産に向くスリミ加工がアラスカでは主流でした。
鮮度が落ちやすい魚でもあるので、漁獲後にすぐ加工するほうが都合が良いのです。
しかし最近、三枚におろして骨を除いた白身魚の切り身(フィレー)の市場が、特にヨーロッパを中心に広がっています。
スケトウダラの主要産地である米国では、スケトウダラの加工品の生産量は、スリミとフィレーがほぼ20万トンずつで拮抗しています(2016年のデータ/出典:水産物パワーデータブック2018)。
米国が輸出するスケトウダラのスリミのうち、全体の約40%が日本に向けたものです。
ところがフィレーはというと、日本への輸出は全体のわずか2%に過ぎません。
なぜ日本ではフィレーの輸入が少ないのでしょうか。
(写真は陸上加工のフィレー)
海や川に恵まれた日本では、昔から魚を身近な食材としてきました。
そのため、日本に向けた水産物はクリアすべき品質基準が高く、品質基準を保つことが容易ではありません。
スケトウダラ漁では、漁獲後すぐに船上で加工するケースと、陸上の加工場へ持ち帰り加工するケースがあります。
もともとアラスカでの船上加工は、スリミ生産が優先された設備になっているため、フィレーの生産は多くはありません。
ただし、フィレーのマーケットも世界で増えているため、加工設備を調え、需要に合わせ生産するケースも増えています。
ちなみに、鮮度が良い状態でフィレー加工されたスケトウダラは、骨などの異物がないか1枚ずつ下からライトをあてて丁寧に検査します。
この検査をクリアしたフィレーを、ブロック状に重ね合わせて冷凍したものが日本に輸出されているのです。
意外と日本では目にすることの少ないスケトウダラのフィレー。
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