ナマコは何の仲間?日本三大珍味のひとつ

コリコリとした唯一無二の触感が特徴のナマコ。ウニ、カラスミ、コノワタが日本三大珍味といわれています。コノワタは、ナマコの腸を塩漬けにした珍味です。ナマコは一年中獲れるのですが、気温が下がってくる秋から冬にかけてよくエサを食べるようになるため、冬のナマコが最も美味とされています。

コリコリとした唯一無二の触感が特徴のナマコ。「ウニ」「カラスミ」、「コノワタ」が日本三大珍味といわれていますが「コノワタ」は、ナマコの腸を塩漬けにした珍味です。

ナマコは古くは単に「コ」と呼ばれており、のちに「生(なま)」が付いて「ナマコ」となったといわれています。(ナマ)コの腸(わた)で「コノワタ」というわけです。

ナマコは一年中獲れるのですが、気温が下がってくる秋から冬にかけてよくエサを食べるようになるため、冬のナマコが最も美味とされています。
2023年は、そんなナマコの話題で締めくくりましょう。

ナマコは何の仲間?

(棘皮動物)

ナマコはヒトデやウニと同じ棘皮(キョクヒ)動物です。棘皮動物の仲間は海だけに生息し、体のつくりが五放射相称という特徴をもっています。五放射相称とは、体が放射状に5つに分かれている構造のことをいい、記号の星のようなヒトデをイメージするとわかりやすいでしょう。ウニやナマコもヒトデと同じように、体の中は五放射相称構造になっているのです。

(棘皮動物の五放射相称構造)

ナマコは世界に約1500種、日本には200種ほどが生息しています。最も大きくなる種はクレナイオオイカリナマコで、体長4.5m、直径10cmにもなります。ちなみにナマコの体の90~95%は水分です。

(オオイカリナマコ)

日本で食用としている代表的なナマコはマナマコで、色によって赤ナマコ、黒ナマコ、青ナマコと呼ばれます。ナマコのエサはプランクトンや砂や泥に混じった有機物、砂の表面のバクテリアなどです。赤ナマコ、黒ナマコ、青ナマコの色の違いは、生息環境や生息域のエサの違いによって生じます。

ナマコはどうやって身を守る?

(左から、赤ナマコ、青ナマコ、黒ナマコ)

ナマコは動きがゆっくりで、鋭い歯やトゲもないため、捕食者からすると格好の標的です。そんなナマコたちは、肛門や口から内蔵を吐き出すという奇妙な方法で身を守ります。

また、マナマコにはありませんが、多くの種類のナマコには「キュビエ器官」と呼ばれる器官があり、このキュビエ器官を内臓といっしょに吐き出します。キュビエ器官はネバネバした糸状の組織で、エラに巻き付いてしまった魚は呼吸ができなくなってしまいます。他にも皮を固くしたり、ドロドロになったり、食用ではないナマコの中には毒を持つ種類もいます。

なお、吐き出した内臓は1~3か月で元通りに。内臓だけでなく、ナマコは体の一部を切られても、元のように再生することが知られています。

とはいえ、ナマコが内臓を出すのは命がけの最後の手段です。海で見かけても悪戯につついたりせずに、優しく見守ってあげてくださいね。また、ナマコを漁業権や許可なく捕ると密漁になりますので、くれぐれも観察だけにとどめましょう。

海の黒いダイヤ、海の人参

(ナマコの国別輸出額 出典:農林水産省)

ナマコ(調整とは複数の原料を混合した食品)は輸出品として東アジアをはじめとした国へ輸出されています。2022年は合計で393トン(184億円)のナマコが日本から海外に輸出されました。

中国ではナマコを「海参(海の朝鮮人参)」と呼ぶこともあり、乾燥させたナマコは人気の食材となっています。ナマコには、生薬の主成分として有名なサポニンが含まれていることが人気の一因のようです。中国では乾燥したナマコを水で戻し、おもにスープや炒め物に使います。

江戸時代、干しナマコは干したフカヒレやアワビと合わせて「俵物三品(ひょうもつさんぴん)」と呼ばれ、日本から中国への輸出が盛んにおこなわれていました。江戸幕府にとって干しナマコは貴重な外貨獲得の手段であったため、一般市場での流通を禁止していたほどです。

(ナマコの中華風炒め)

ナマコは米俵に似た風貌が豊作をイメージさせ、五穀豊穣を願う意味で、青森県や長崎県の一部などの地域ではおせち料理の一品になっています。

今年も残すところあとわずか。良いお年をお過ごしください。
来年もumito.をよろしくお願いいたします。