魚が減っても養殖があれば大丈夫でしょうか?

魚が減っても養殖があれば大丈夫でしょうか?

世界の水産物の水揚げ量は、2016年に年間2億トンに達しました(海藻類を含む)。
これだけ急激に水産物の水揚げ量が増えてしまうと、魚や貝が海からいなくなってしまうのでは?と心配になりますよね。
貴重な水産資源を維持し、そして安定した水産物の供給のためには養殖はとても重要な役割を担っています。

天然と養殖の水産物の割合は半分半分

牛や豚、鶏などのお肉で、天然のものを食べる機会ってあまりないですよね。
でも水産物は天然ものも養殖ものも共に多く流通しています。
これは水産物の特徴といえるでしょう。
この内、漁獲量(天然)と生産量(養殖)の割合は、ほぼ半々です。

グラフをみていただくと、漁獲量(天然)が1990年代より横ばいが続いている一方で、生産量(養殖)は右肩上がりなのがおわかりかと思います。
水産物の水揚げ量の増加は、急成長する生産量(養殖)の増加といえるのです。

私たちに身近な養殖魚は?

水産物の養殖には、サーモンやハマチ、タイ、クロマグロといったおなじみの魚から、コイ類やナマズ、ティラピアなど、あまり日本では見ることのない淡水魚、ホタテやアサリといった貝類、そしてワカメや海苔などの海藻類が含まれます。
回転寿司の人気ネタ、サーモン・ハマチ・エビ・ホタテでは、養殖ものも多く使われています。

天然ブリと養殖ブリ

天然と養殖のどちらも流通している魚の代表格に、ブリ(ハマチ)があります。
魚資源の減少が深刻になっている状況の中で、ブリは資源状態が比較的良い部類の魚です。
2017年のデータでは、天然のブリ(カンパチ等含む)が12万トンに対して養殖のブリ類は14万トン(ブリ10万トン、カンパチ4万トン)と、ほぼ同じ割合になっています。
ブリの養殖は西日本でさかんで、天然のブリに比べ、比較的通年脂がのっているのが特徴です。

また、日本人の国民魚ともいえるクロマグロの養殖を、ニュースで聞かれた方も多いと思います。
マルハニチロでは、2015年6月に民間企業としては初めて、完全養殖マグロの初出荷を果たしました。
出荷量はまだそれほど多くありませんので、いまのところ「回転ずしで手軽に」とはいきませんが、これからは目にする機会も徐々に増えていくでしょう。

これから私たちが意識していきたいこと

このように、世界中の急激な養殖の増加にともなって、養殖の魚についても「資源の持続性」「環境と人にやさしい責任ある養殖」が求められるようになりました。
その指標として国際的に広がってきているのが、養殖魚のエコラベル「ASC(水産養殖管理協議会)」や「BAP(Best Aquaculture Practices )」による認証制度です。

「海のエコラベル」として知られるMSCは、持続可能な水産物を認証し、エコラベルをつける取り組みを行っていますが、ASCやBAPはMSCの取り組みの養殖魚版といえます。

ほとんどの養殖魚のエサには、魚を乾燥させて粉状にした魚粉(フィッシュミール)が使われています。
養殖魚の生産量の急激な増加は、魚粉のもととなる魚の価格の上昇や、エサとなる生物資源の乱獲につながってしまう恐れがあります。
今後、円滑な養殖を続けていくためには、エサとなる魚の資源も含めて管理する取り組みがよりいっそう求められるようになるでしょう。

※MSC認証とは:環境にやさしい持続可能な漁業で獲られた水産物に認められる証です。
※ASC認証とは:環境と人にやさしい責任ある養殖業で生産された水産物に認められる証です。
※BAP(Best Aquaculture Practices )は、世界で最も信頼され、包括的かつ実証済みの第三者養殖認証プログラムです。

関連記事
https://www.maruha-nichiro.co.jp/yokatoto/buri.html
https://www.maruha-nichiro.co.jp/yokatoto/kanpachi.html