世界で大人気のツナ缶、その背景は?

最近はサバ缶が人気ですが、魚の缶詰の王道といえば、やはりツナ缶ですよね。食材の1つとして幅広く好まれているツナ缶は、もはや日本の食卓には欠かせません。

今回は食卓になくてはならないツナ缶の、原料や世界的人気の背景などを詳しくみていきましょう。

ツナに使用される魚の種類とは?

そもそもツナ缶のツナとはどんな魚を指すのでしょう?
実はマグロだけのことではなく、ツナ(tuna)はスズキ目サバ科マグロ属に分類される魚の総称です。欧米では用途が似ているカツオも同じくtunaと呼ぶようになったそうです。これに倣(なら)って日本でも、「マグロ類=ツナ」とまとめて呼んでいるので、ツナ缶の原料にはマグロとカツオが存在します。

また、ツナ缶の「ブロック(ソリッド)」「フレーク」は形状を指しています。

(左:ブロック(ソリッド) 右:フレーク)

ツナ缶の原料になる種類をおさらい

ツナ缶には主に下記の3種類が、原料として用いられています。

① ビンナガマグロ
[英名]Albacore,Longfin tuna
[学名]Thunnus alalunga(Bonna terre)
[分布域]北海道以南の日本、日本海には稀、その他世界中の温帯・熱帯海域に広く分布。(北緯50度、南緯40度の間)
[分類]スズキ目サバ科マグロ属

長い胸ビレを頭髪の鬢(びん)に見立てて「びんなが(びんちょう)」の名前がついたと言われています。まぐろとしては小型で、肉は白く味は淡白。「ホワイトミート」と呼ばれているツナ缶の原料です。寿司では「ビントロ」とも呼ばれています。

(ビンナガマグロ)

② キハダマグロ
[英名]Yellow fin tuna
[学名]Thunnus albacares(Bonna terre)
[分布域]北海道以南の日本、その他世界の温帯(南北の緯度40度の範囲)に広く分布
[分類]スズキ目サバ科マグロ属

体色が黄味を帯びているので「きはだ(黄肌)」と呼ばれています。明るい色合いから「ライトミート」と呼ばれ、あっさりして軽い味わいがマヨネーズなどによく合います。

(キハダマグロ)

③ カツオ
[英名]Skipjack,Bonito
[学名]Katsuwonus pelamis(Linnaeus)
[分布域]北海道以南の日本周辺海域、その他世界の温帯・熱帯海域に広く分布
[分類]スズキ目サバ科カツオ属

カツオを使ったツナ缶は、濃厚な旨味と身の柔らかさが特徴で、キハダマグロと同様、「ライトミート」と表記されます。

(カツオ)

(ツナ缶  左:カツオ 中:キハダマグロ 右:ビンナガマグロ)

ツナ缶が世界中で人気のヒミツ

ツナ缶は、日本だけでなく世界中で大変好まれている食材です。ツナは豚肉などのような宗教上の問題がないので、ヒンズー教やイスラム教国でも食べられています。また、缶詰のため常温で長期保存が可能で物流コストも安く、新興国などで需要が伸びています。

ツナ缶の総生産量は204万トンですが、そのうち56万トン(27%)はタイで生産されています(2016年の資料による)。

(国別まぐろ類(カツオを含む)缶詰生産量の動向(1976‐2016年)FAO統計)

世界で増えている水産物の需要

(世界の魚介類消費量の推移(粗食料ベース))

世界での魚介類の消費量は、この50年でなんと約5倍に増加しました。

(主要国・地域の1人1年当たり食用魚介類消費量の推移(粗食料ベース)

特に中国やインドネシアなど、もともと魚を好むアジア地域では顕著な増加を示しています。その理由をもう少し探ってみましょう。

水産物の需要がこれほど増えた理由

まず、輸送技術の発達により、世界のどこへでも食品を届けることが可能になりました。そして小売業の形態が従来の市場から、国際物流システムに支えられたスーパーマーケットへと大きく転換し、世界中で獲れた魚を簡単に買えるようになったのです。

そこで経済が発展した新興国では、肉や魚を多く使った食事などへと食生活が変化しました。世界的な健康志向の高まりで魚介類の人気が上昇していることや、人口が増え続けていることなども、消費を後押ししています。

とくに増えているマグロ・カツオ類の漁獲量

(世界の主要まぐろ類(カツオを含む)の魚種別漁獲量の推移)

水産物の中でもマグロ・カツオ類の漁獲量が増えています。特にカツオの増え方は一目でわかるほど著しく(上図のグレーの部分)、1950年代には20万トン程度だった漁獲量が、2010年代には300万トンに迫っています。

これは巻き網とFAD(集魚装置)を合わせた、大変効率の良い漁獲法が広まったことが一因です。しかしルールを設けず無秩序に漁を続けた結果、次第に獲り過ぎ(乱獲)や、他の魚類や生物などの混入(混獲)が問題視されはじめました。

持続可能な漁業を目指して

需要に応じて獲っていては、いずれ資源は枯渇してしまいます。

マグロ・カツオ漁にも持続可能が求められるようになり、漁獲高に上限を設けて資源の回復をはかっています。
また、一度に少量しか漁獲できない一本釣り漁や、イルカの混獲をしていない「ドルフィンセーフ漁」が推奨されています。企業もその流れに応じて、対象製品には下記マークの表記を行っています。

(Pole&LIneマーク)

コクがあるのにどんな料理にもマッチし、長期保存可能でお値段も手ごろなツナ缶は現代の食卓になくてはならない食材です。人気の高まりを受けて、マグロ・カツオの漁獲高は上昇の一途をたどっています。このままでは、いつかツナ缶は高級缶詰になってしまうかもしれません。そこで資源を守るため、世界中で持続可能な漁について検討されています。

いつまでも身近な存在であってほしいですね。

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