カマボコやチクワ、そしてフィッシュソーセージなど、さまざまな練り製品の原料として使われている「冷凍スリミ」。
魚から丁寧に、頭、骨、皮、内臓などを取り除いて生産されていきます。
もともとは日本向けに生産されていたのですが、今では世界中で需要が伸びています。
日本ではおなじみの「スリミ」。
では海外で何と呼ばれているか知っていますか?
上の写真を見ていただくとおわかりでしょう。
実は「SURIMI (スリミ)」と、日本語がそのまま英語で使われています。
ちなみにEUでは一般的にSURIMIはカニカマを指します。
実は「冷凍スリミ」は日本発の技術。
1959年に、低迷していたスケトウダラの魚価対策を目的に、北海道水産試験場が開発した技術なのです。
その後、世界中へ急速に普及していきました。
1977年に200海里漁業専管区域が設定されるまでは、日本の遠洋漁業の発展は目覚ましく、1972年に日本が水揚げしたスケトウダラ1魚種の漁獲量は300万トンを超えています。
ちなみに2017年の北海道の水産物全体の漁獲量が84.5万トンなので、1魚種で北海道の漁獲量の3倍以上です。
この大量に漁獲されるスケトウダラを、一度に処理できる加工方法として支えたのが「冷凍スリミ」の生産でした。
魚肉から黒皮等の夾雑物を除去している工程
今では「冷凍スリミ」はアラスカや日本だけでなくイトヨリダイなどの魚で、インド、ベトナムなどの東南アジア、中国、南米、オセアニアなどでも生産されています。
この10年間での日本と世界のスリミの供給量を比べてみると、日本では2007年31万トン→2017年29万トンとほぼ横ばいなのに対して、世界全体では2007年63万トン→2017年77万トンと、約2割も伸びています。
需要が増え続けている「スリミ」。需要の伸びに供給が追い付かなくなる傾向になってきています。
ちなみに「スリミ」の多くは天然魚からつくられております。
このため「スリミ」価格の上昇が懸念されます。
需要の増加にともない、供給量も10年前に比べて増えています。
しかし、今では大量に魚を処理・加工できるようになったスリミ生産は、魚の獲りすぎにより、資源を減少させてしまう要因ともなり得ます。
日本国内では、水揚げされるスケトウダラやホッケが減少してしまったために、国内産のスリミ生産は減っています。
2017年の国内スリミ生産量は3万トン。10年前の2007年(4万6千トン)と比較すると3割強の減産です。
現在でも資源が豊富で、年によって増減はあるものの比較的生産が安定しているアラスカとは対照的な状態です。
近年では、サステナビリティ(資源の持続性)の考えの普及にともない、MSCによる認証(海のエコラベル)の取得が世界の市場から求められるケースが増えています。