魚の獲りすぎで4万人以上が失業した東カナダの話

魚の獲りすぎで4万人以上が失業した東カナダの話

東カナダのグランドバンク。
かつてマダラ漁が盛んであった大西洋の漁場です。
寒流と暖流がぶつかり合い、複雑な地形をしたこの恵まれた漁場では、約100年もの間、年間20~30万トンの漁獲量を維持していました。
ところが1970年代になると、急激に漁獲量が増え80万トンに到達。
しかしその後、漁獲量は激減を始め、1992年には遂に禁漁となってしまいます。
その結果、4万人以上の漁業関係者が失業。
地域社会に大きなダメージを与えてしまったのです。

魚の獲りすぎを繰り返さないためにできたのがMSC認証

東カナダでのマダラの激減は、上のグラフで見るとわかりやすいでしょう。
1960年~1970年代にかけて大幅な増加が見てとれます。
漁獲量が大幅に増えた原因は、漁船の数が増えたことや、漁具の発達による大量捕獲が挙げられます。
マダラのように、成魚になるまでに4年ほどかかるような魚であればなおさらです。
市場に出荷する魚の量が減ってしまうと、供給減により魚価が上がります。
すると少なくなった魚を獲ろうとして、負のサイクルが発生します。
当然、そうなると魚の量は大きく減少してしまうのです。

ユニリーバとWWFによって立ち上げられたMSC認証

マダラ乱獲で資源を崩壊させてしまった反省からできたのが、持続可能な漁業を認証する「MSC認証」です。
皆さんもこのマークを見たことがあるかもしれませんね。
「MSC認証」は、いつまでも魚を食べ続けることができるように、海洋の自然環境や水産資源を守って獲られた水産物に与えられる海のエコラベルです。
消費者がこのマークのついたシーフードを選ぶことで、世界の海洋保全を間接的に応援できる仕組みなのです。
MSC(海洋管理協議会)はNPOで、1997年にユニリーバとWWF(世界自然保護基金)により設立されました。
本部はロンドンにあり、2017年に20周年を迎えました。
日本での認知度は15%(2016年)とまだまだ低いのですが、2020年の東京オリンピックの年には、SDGs(持続可能な開発目標)の14(海の豊かさを守ろう)の中の、水産資源の持続的回復レベルのターゲット(14.4)が期限をむかえますので、これからは売り場で見かけることが増えてくることでしょう。

世界的なMSCの普及度と日本の動き

現在、世界中で獲れる天然魚のうち、約9000万トンの12%がMSCされた認証の対象となっており、2020年までに20%、2030年までに1/3以上という目標が掲げられています。
日本でもイオン、日本生活協同組合連合会をはじめ、取り扱う水産物のうち20%をMSC認証(天然)やASC認証(養殖)された魚にするなど、具体的な数値目標を掲げています。
グラフは、MSC認証の製品数の増加傾向を表すグラフです。

ちなみに、東カナダの資源は徐々に回復していると言われていますが、禁漁から25年以上経ったいまでも、マダラ漁はほとんど行われていません。

消費者がサステナブル(持続可能)な魚を選ぶことは、カナダのような悲劇を繰り返さないことにつながります。
スーパーなどでMSC認証を見かけたときに、「環境に配慮した商品なんだ」と多くの人が思ってくださる日は遠くないのかもしれません。

・MSC Webサイト https://www.msc.org/jp
・外務省JAPAN SDGs Action Platform(14海の豊かさを守ろう)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html