おせちの定番「数の子」。あなたはどれだけ数の子のことを知っていますか?

年の瀬の声を聞き始めるころになると、数の子が店先をにぎやかに飾りはじめます。
おせち料理にはかかせない数の子は、高価かつ、見た目の美しさから、「黄色いダイヤ」と呼ばれることも。お正月には当たり前のように食卓に上る数の子ですが、意外に深く興味を持ったことのある方は少ないのではないでしょうか。

今回は数の子についてご紹介いたします。

数の子は魚の卵

ご存知の方も多いと思いますが、数の子はニシンの卵。正月のおせちには欠かせない食材です。
一時期、数の子が不足していたときには、カラフトシシャモの卵を代用品としていたこともありました。
ただ最近は太平洋産だけでなく、大西洋からも数の子が安定して輸入されるようになったので、今では代用品の数の子はほとんど見かけなくなっています。

昨今は世界的なヘルシー志向や、流通・保存技術の発達、さらには新たな国際競争により、日本が他の国に魚を「買い負け」することが増えてきました。しかし数の子は、他の国々で食べる習慣がほとんどなく、今でも日本が世界一の消費国です。

数の子の種類

数の子には保存方法により食感・味の異なるものがあり、そのうち2つをご紹介いたします。

1つは、コリコリとはじけるような食感の太平洋産の数の子です。塩数の子用として、主にアメリカやカナダから輸入されています。
むかしニシンがたくさん水揚げされていた北海道の留萌地区などで加工され、市場に出回ります。

もう1つは、「味付け数の子」に代表される、調味液などに漬けた数の子です。こちらは卵の中に味がしみ込んでいて、塩抜きの必要はありません。塩数の子に比べ歯ごたえが少なく、太平洋産の数の子に比べて価格は低めです。
主に東カナダの大西洋等で獲れたニシンから卵を取り出して味付けし、冷凍された状態で輸入されます。

ヨーロッパのニシンは複数の系統(魚群)に分かれていて、それぞれきちんと資源管理されています。
卵を産む時期も、ノルウェーの沿岸で春に産むタイプ、北海(イギリス近く)で夏から秋に産むタイプ、ドーバー海峡(イギリスとフランスの間)で年末に産むタイプ、と様々です。卵の色や粒の大きさも少しずつ異なります。

子持ち昆布はどうやって作るの?

珍味として見かける「子持ち昆布」は、加工して作ったようにも見えますが、実はニシンが昆布に卵を産み付けたものなのです。
ニシンが豊富なアメリカやカナダの海では、ニシンの産卵で海面が白く濁る「群来(くき)」(ニシンの群れが産卵して海が乳白色に染まる現象)現象が起こることがあります。
日本では昨年(2017年)100年ぶりに北海道の江差町で群来が見えたとニュースになりました。

数の子の名前の由来は?

ニシンはその昔、カド(鰊)と呼ばれており、カドの卵は「カドの子」と呼ばれていましたが、徐々になまって「数の子」と呼ばれるようになった、と言われております。

数の子をおせち料理に入れる理由

ニシンは多くの卵を産むことから、数の子は子孫繁栄や子宝の象徴とされ、さらには、二親(ニシン)から元気な子が生まれ、代々栄えるようにと願いを込めて、現在でもおせち料理の定番として親しまれています。

なぜ塩漬けの数の子をよく見るの?

スーパーなどで見かける数の子の多くは、塩漬けされたものです。数の子は冷凍すると食感が柔らかくなってしまうので、コリコリした食感を残すために、冷蔵で長く保存ができる塩漬けが多く生産されています。

(塩水に漬けて保存されている数の子 太平洋産)

塩数の子を美味しく食べる方法



日本料理店の名店「分とく山」の野崎洋光先生に教わりました方法をご紹介いたします。
塩数の子を食べるには、まず塩抜きをします。

<塩抜き方法…塩数の子4本分>
① 塩数の子を食塩水(水500gに対し塩小さじ1)に漬け、冷蔵庫に1日置きます。途中2回ほど食塩水を取り替えます。
② ①の塩数の子を今度は①より薄い食塩水(水500gに対し塩小さじ2/3)に漬け、また冷蔵庫で1日置きます。こちらも2回ほど食塩水を取り替えます。

<おすすめの味付け方法その1>
②をおいがつおだし※に漬けます。

※おいがつおだし
かつおだし250g、しょうゆ50g、みりん50g、かつおぶし5~10gを鍋に入れ、沸騰したら火を止め、1~2分ほど置いて粗熱を取り、ざる等でさっと濾します。

<おすすめの味付け方法その2>
塩抜き数の子を酒に15分ほど漬けます。その後白みそ(西京みそ)7に対し、練り粕(酒粕)3で合わせた床に着け、1週間ほど冷蔵庫に置きます。



おせちを食べなくなった家庭が増えてきている中、スーパーやデパートでは高級おせちがよく売れているそうです。一年のはじめとして、やはりお正月にはおせちが食べたくなるのではないでしょうか。
一年が良い年になりますようにと、縁起の良いものを食べるのは、素晴らしい風習ですよね。ぜひ受け継いでいきたいものです。その際は「黄色いダイヤモンド」数の子も忘れないでくださいね。