日本で漁獲されるサバはどんなサバ?美味しさと資源量の話

塩焼きやシメサバ、味噌煮など、食卓には欠かせない青魚、サバ。さて、今回は日本で獲れるサバにはどんな種類がいるのかを探ってみましょう。日本で多く漁獲されるサバには2種類います。1種類はマサバ、もう1種類はゴマサバです。英語ではマサバもゴマサバもchub makerelで、一緒にされています。

塩焼きやシメサバ、味噌煮など、食卓には欠かせない青魚、サバ。
さて、今回は日本で獲れるサバにはどんな種類がいるのかを探ってみましょう。

日本で水揚げされるサバとは

日本で多く漁獲されるサバには2種類います。
1種類はマサバ、もう1種類はゴマサバです。英語ではマサバもゴマサバもchub makerelで、一緒にされています。

(マサバ)

秋になると脂がのって美味しいと言われているのは主にマサバを指しています。これは産卵期である春に向けて、栄養を蓄えるためです。
マサバはヒラサバやホンサバとも言います。マサバの身を筒切りにした時の断面が、ゴマサバより平べったいのでヒラサバと呼ばれるそうです。
サバは回遊魚で、年齢や季節により群れを成して移動します。そのため旬の時期が地域により異なります。
サバの稚魚は動物プランクトンなどを、幼魚以降はカタクチイワシなどの魚類やオキアミなどを食べます。

(ゴマサバ)

ゴマサバはマサバに比べて、腹部に多数のゴマのような暗色点があるのが特徴です。しかし斑点が薄くマサバと正確な識別が難しいことがあります。ゴマサバの断面は円に近いため、マルサバと呼ばれることもあります。ゴマサバの身はマサバに比べ脂質が少なく、水分とたんぱく質が多くなっています。

マサバは太平洋系群と対馬暖流系群、ゴマサバは太平洋系群と東シナ海系群と分布域ごとにそれぞれ2つに分け、資源評価を行っています。

サバは何歳で成熟する?

サバの年齢と成熟度は、サバの資源量も関係してきます。
例えば4つの海域の中で、一番漁獲量の多いマサバの太平洋系群について、見てみましょう。

(マサバ(太平洋系群)の漁獲量の推移)

(マサバ太平洋系群ー成熟)

(マサバ太平洋系群ー成長)

上の図はマサバの漁獲量推移と、年齢に対する成熟と大きさを表したものです。

サバの漁獲量(資源量)が極端に減った2000~2004年は、2歳で8割が、3歳で全てが成熟しています。しかし資源量が多く、数多く漁獲されていた1970~1975年では全てが成熟するのに4年の年月がかかっています。資源量が少ないときのサバは、他の時期に比べ早く成長することが分かります。
また、大きさや体重も、資源量が少ないときの方が大きくなることが見て取れます。

2018年は2011~2014年に比べ、小ぶりになっています。これは分布域にサバが過密に存在し、餌がいきわたらないため、成長が鈍化してしまう密度効果と呼ばれることが原因の一つとされています。
ですから小ぶりでも成熟しているため、時期にもよりますが脂がのっていて美味しい、とも言えます。

マサバ・ゴマサバの資源量推移

(左:マサバ 太平洋系群の分布 右:ゴマサバ 太平洋系群の分布)

(マサバ 太平洋系群の資源量推移)

(ゴマサバ 太平洋系群の資源量推移)

太平洋系群のマサバとゴマサバについて見てみます。
分布図を見ると、マサバもゴマサバの分布域も産卵場もほとんど同じところにあることがわかります。ゴマサバはマサバに比べ南方域に分布すると言われていますが、実際には混獲されることも多いのです。

しかし、マサバとゴマサバの資源量の推移を見てみると、マサバが増加傾向であるのに対して、ゴマサバは減少傾向であることが読み取れます。

また、資源量自体はマサバの方が約20倍も大きくなっているため、国産サバを使用した加工品や、流通している鮮魚は、結果としてマサバの比率が多くなっています。密度効果により秋から冬にかけて小ぶりでも成熟して脂がのっているマサバが、鮮魚や、缶詰などの加工品として食卓に上る機会が増え、サバは美味しいという印象を与えているのかも知れません。

缶詰に使われているサバ

(サバの水揚げの様子)

日本で作られるサバ缶のほとんどは、日本で漁獲されたマサバやゴマサバを使用しています。
塩サバなどで人気の高い脂ののったノルウェーサバは、サバ缶で圧倒的な人気を誇る水煮缶にはほとんど使われていません。その主な理由は、価格もさることながら、脂がのりすぎていて、水煮缶にすると見た目の色をはじめ、国産サバのものと品質が異なるからと言われています。

日本のマサバは秋から冬にかけて20~30%前後に脂がのって美味しくなります。ただし脂ののり具合はサバの大きさにもより、200g前後やそれ以下のローソクと呼ばれるような小さく、未成熟のサバですと、脂はほとんどのっていません。

(サバ買い付け時の検品の様子)

同じサバの缶詰でも、価格が大きく異なる場合があります。その理由の一つは、使用されているサバの大さきです。水揚げされたサバは、セリを通して販売されていきますが、セリでは大きく脂がのっていて鮮魚や加工向けに需要があるサバほど、高値で取引されていくのです。
国産の大きなサバを使ったサバの缶詰は、少し高めの価格にはなりますが、美味しい、と言えます。

(サバ水煮缶)

サバ缶は手軽に美味しく青魚の栄養を摂取できる食材として、多くのメディアに紹介され、皆様に親しまれてきました。
サバ缶ブームの頃は、販売量が一時期ツナ缶を上回り、スーパーで売り切れる事態となったほどです。

美味しい国産のサバを、資源を大切にして食べ続けていきたいですね。

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