もういくつ寝るとお正月。お正月といえばおせち料理。
年末から手間暇をかけておせちを作った時代は幾年月、最近は百貨店や料亭などのおせちを事前に予約し、お正月前に届けてもらうご家庭が増えているようです。手作りでも買ったものでも、いずれにしてもおせち料理を知ることは、お正月をより楽しく華やかしてくれます。
今回は、おせち料理の中でも紅白の色味が鮮やかな「タコとイカ」にスポットを当てて紹介します。
数の子、田作り、海老…おせちに集う海の幸とその由来
ご存じの通り、タコとイカは軟体動物です。頭から足が出ていて、胴体は頭の後方についているため頭足類と呼ばれています。泳ぐときには通常は胴の方向、つまり後方へ向かって進んでいくという特徴があります。
「タコとイカの違いは?」と聞かれると、「タコは足(腕)が8本、イカは10本」と答える方は多いのではないでしょうか。ところがイカの中には足が8本しかいない種類がいます。このように例外はありますが、おおまかな違いで分けると以下の通りです。
タコ | イカ | |
スミ | サラサラしていて広がりやすい | ドロドロしていて散らばらない |
卵 | 抱卵する | 抱卵しない |
生活型 | 定住性 | 遊泳性 |
体色の変化 | 主に擬態に用いる。求愛などコミュニケーションにはほとんど使われない。 | 主に求愛などコミュニケーションに使う。擬態する種類は少ない。 |
タコとイカのもっとも明確な違いは、吸盤の構造に見られます。吸盤をアップにした写真で確認してみましょう。
(左:タコの吸盤 右:イカの吸盤)
タコの吸盤は、筋肉の収縮を使って吸い付くように作用します。私たちがイメージする吸盤そのものです。ところがイカの吸盤には歯のような角質があり、この角質リングが食いつくようにしてくっつきます。噛みつくといったほうがいいかもしれませんね。
(タコの煮物)
タコを使ったおせち料理には、酢ダコ、タコのうま煮、タコ玉子などがあります。 日本列島をざっと大別すると、東や北では酢ダコ、西や南のほうではうま煮が一般的のようです。
タコは熱を通すと体が赤くなり、吸盤は白くなります。鮮やかな紅白になるので、むかしから縁起の良い食材として使われてきました。また、逃げるときに墨を吐く様子から「苦難を煙(けむ)に巻く」との縁起担ぎにもなっているようです。漢字で「多幸」の字を当て、「多くの幸せを」との縁起担ぎにもなっています。
(酢ダコ)
(黄金イカ)
一方、イカを使ったおせち料理には、黄金イカ、松かさイカ、イカ明太、イカなますなどがあります。
黄金イカはスーパーの鮮魚コーナーに置いてあることも多いので、見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。イカの細切りにニシンやシシャモの魚卵を加えた料理で、イカの白さと魚卵の黄色が目にも鮮やかな逸品です。
(松かさイカ)
松かさイカは、イカの表面に格子状の切れ目を入れて焼き色をつけた料理です。火を通した際にイカがくるんと丸まって、松笠(松ぼっくり)のようになるためこのように呼ばれます。松は冬でも葉が落ちないことから、長寿や子孫繁栄の象徴とされています。
また、地域によっては鏡餅にスルメを飾る家庭もあります。スルメを古くは「寿留女」と書いたため「末永い幸せ」「良縁」をイメージしたとする説や、スルメの日持ちの良さが「末永く」を連想させるとした説など諸説ありますが、アワビやコンブ同様に古くから縁起ものとして利用されてきました。
タコやイカに多く含まれているタウリンは、二日酔いに効果があるとされています。タウリンが、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解して肝臓の働きを助けてくれるのです。お酒を飲む機会が多いお正月にはぴったりの料理ですね。
お正月にタコといえば、子供の遊び道具の凧があります。凧はむかし、形がイカにいているためイカと呼ばれ、凧揚げは「いかのぼり」と言われていました。タコもイカも日本のお正月には欠かせない生き物ですね。
2022年もあと少しになりました、来年はどんな年になるのでしょうか、皆様のご多幸をお祈り申し上げ、2023年もumitoをどうぞよろしくお願い致します。