2025.09.05 データを更新しました
秋に食べたい魚といえばサンマ。
脂ののった焼きたてのサンマに、大根おろしと醤油でパクリと一口。新鮮な刺身も美味しいですよね。
さて、毎年、サンマの漁獲量についてのニュースをよく聞きます。果たしてサンマはいなくなってしまうのでしょうか?
今回はサンマの生態を探っていきたいと思います。
サンマは浮魚(うきうお)という種類に分類されます。
浮魚は海洋の表層を遊泳する魚のことを言い、一般に青魚といわれるマグロやサバ、イワシなどが含まれます。
青魚の体色は背が濃い青色、腹側が銀白色ですが、この構造だと上からは鳥などから、下からは大型の魚類に見つかりにくいと考えられています。
サンマは1年で25~30cmくらいまで成長します。寿命は2年程といわれ、同じ回遊魚であるサバやイワシと異なり寿命の短い魚です。
オキアミ類などを餌にしていますが、胃がなく、口から肛門まで消化管が一直線にあるだけ。同じ青魚で回遊魚のサバやイワシと、生態や体のつくりが大きく異なっています。 時間をかけて消化吸収するスタイルではないため、内臓に未消化のエサがほとんど残らず、臭みが出にくいのです。そのため、内臓ごと食べることを好む方も多い魚です。
サンマは日本のはるか沖合の公海を回遊し、秋になると日本近海に近づいてくる性質があります。
冷たい海水に生息するため、下記の図のように夏場はより北の薄黄緑色の海域で育ち、秋や冬になるとオレンジ色海域の産卵場・生育場へ南下します。
サンマの群れの一部は成長しながら回遊し、成魚となる秋頃に日本近海に現れます。そのためサンマは秋が旬といわれるのです。
1年のうちに約1000kmもの距離を、成長しながら移動するなんて、サンマってスゴイですね。
(サンマの分布域 出典:令和2年度 サンマ長期漁海況予報)
(月別のサンマの漁場 出典:2025年度 サンマ長期漁海況予報)
では、日本中で食べられるサンマはいつどこで漁獲されているのでしょうか。
日本のサンマ漁は場所や年度によって異なるものの、一般的に8月から12月にかけて行われます。上の図では過去約20年間のサンマの漁場の位置の変化を知ることができます。これを見ると、近年サンマの漁場は特に8~9月の早い時期に沖合へ遷移していることが分かります。
日本ではサンマをEEZ(海洋法に関する国際連合条約の排他的経済水域:200海⾥・⽇本陸地から約370㎞)内で漁獲しますが、台湾や中国などは、どの国でも自由に行き来ができる公海で漁獲しています。
マイワシやサバ類は産卵場が主に日本であり、日本で生まれた魚がEEZの外側に一時的に出ていきます。
一方、サンマは産卵場が必ずしもEEZの内側だけではなく、広範囲に産卵場があり、かつ回遊範囲も広い点でマイワシやサバ類と異なります。
(棒受網漁 出典:水産庁)
日本でのサンマ漁獲量のほとんどは、棒受網漁による漁業です。2018年までは8~12月が漁期と決まっていましたが、2019年3月に制度が改正され、漁期の制限がなくなりました。
(サンマの国別漁獲量推移 出典:2025年度 サンマ長期漁海況予報)
上のグラフは、サンマの国別漁獲量推移を表しています。棒グラフの赤い部分が日本の漁獲量です。2000年頃より前は、サンマ漁を行っている国の中で、日本の漁獲量が占める割合は全体の8割以上でした。しかし日本の漁獲量は減ってゆき、2019年は22.3%と、ついに3割を切っています。なお、2019年は日本だけでなく、他の国々も不漁でした。
2022年以降、再び漁獲量が上昇していますが、昔と比較すると漁獲量は依然低いままです。
(2024年~2025年のサンマ推定分布状況 出典:2025年度 サンマ長期漁海況予報)
(2025年度 サンマ推定分布量推移 出典:2025年度 サンマ長期漁海況予報)
上の2つのグラフは、各年6~7月に調査したサンマの推定分布域とその推移です(2020年はCOVID-19の影響で調査を縮小して実施。3区は未調査)。
サンマの推定分布量は調査開始時の2003年には482.1万トンでしたが、変動を繰り返しながら減少しており、2021年の調査結果では45.3万トンにまで減少し、過去最低となりました。2025年でも109.9万トンと、2003年時と比べて依然として低水準のままです。
(サンマ推定分布量と6か国計漁獲量 2025年度 サンマ長期漁海況予報データを編集)
ただし気を付ける点として、昨年とだけで比較してしまうと、分母の数が少ないため、少しの増減で、前年比何割増の「豊漁」や「不漁」という報道になりがちです。
そこで冷静に10年前、20年前までの漁獲量とも比較した上で考えていかないと、いつの間にかサンマが減ったことに慣れてしまう恐れがあります。
サンマは日本だけではなく、世界各国で漁獲されています。
現在、北大西洋のサンマは、北大西洋漁業委員会(NPFC)による資源管理の対象になっています。2019年7月には2020年のNPFC条約水域(公海)の漁獲可能量(TAC)が33万トンと定められましたが、当初から多すぎることが認識されており、2021年2月、2023年3月、2024年4月、および2025年3月に開催された年次会合においてそれぞれ削減された結果、2025年現在では12.15万トンとなっています。
大衆魚として親しまれているサンマですが、このまま資源が減っていくと高級魚となってしまい、国産はおろか、サンマ自体が食べられなくなる日が来てしまうかもしれません。視野を広げて全体像を知った上で、食べ続けられるための仕組みを考えていかなければならないですね。
(マルハニチロのコミュニティサイト Oishiine!!)
秋は脂がのった美味しいサンマの季節ですが、缶詰を使えば美味しいサンマ料理が一年中、家庭で簡単に楽しめます。マルハニチロの公式コミュニティサイトOishiine!!では、サンマの缶詰を使ったレシピをたくさん紹介しています。この記事で学んだサンマのことを、もっとよく知るために、工夫して美味しく食べてみませんか。
サンマ缶詰でつくる・サンマの炊き込みご飯
Oishiine!!は健やかな“からだ”と“こころ” をはぐくむマルハニチロの公式コミュニティサイトです。マルハニチロの商品を使用したレシピの投稿や取組みの紹介、クイズなどを通じた”共感”のコンテンツをお届けします。新商品のプレゼントキャンペーンやレシピモニターの募集なども随時開催しています。