世界 の海には、500種 以上 ものサメが生息 しています。その中にはアザラシなどの大きな生き物 を食べるサメもいれば、主 に小さなプランクトンを食べて生活しているサメもいます。その中から、特徴 のある7種 のサメをご紹介 します。
今回のumito.は夏休み企画として、お子さまにも読んでもらえるようにふりがなをつけていますので、お楽しみください。
・ジンベエザメ (テンジンクザメ目ジンベエザメ科 大きさ約12メートル)
魚の中で一番大きいのはジンベエザメ。成長すると約12メートルにもなります。体は大きいのですが、食べているのは小さなプランクトンや小魚などで、大きな口を広げてまわりの海水ごとすいこみます。噛まずに飲みこむため、歯が必要なくなり、小さな歯へと退化していきました。米粒サイズの歯が、上下あわせて約8,000本も並んでいます。
・アカシュモクザメ(メジロザメ目シュモクザメ科 大きさ約3メートル)
アカシュモクザメの頭は、飛行機のつばさのように左右に広がっています。その両側には、それぞれ目と鼻がついているので、広い範囲を見わたしたり、遠くのにおいをかいだりするのに役立ちます。このような頭の形に進化したのは、獲物がどこにいるのかを知るためだといわれています。
この頭の形が鐘などを打ちならすときに使う撞木に似ていることから、「シュモクザメ」という名がついています。ちなみに、英語でも「ハンマー・ヘッド(カナヅチの頭)シャーク(サメ)」と呼ばれています。
アカシュモクザメはサメの中では珍しく、数百匹もの群れをつくって行動しています。
(アカシュモクザメの群れ)
・ホホジロザメ(ネズミザメ目ネズミザメ科 大きさ約4メートル)
ホホジロザメは、映画「ジョーズ」のモデルといわれているサメです。オットセイやアザラシなどの獲物を見つけると、海底に沈んで獲物の動きに合わせて近づいていき、強いあごとするどい三角形の歯を使って、下からいきおいよく襲いかかります。
ホホジロザメの胎児(母ザメのおなかの中からまだ生まれていない赤ちゃん)は、母ザメのおなかの中で卵からかえったあと、約1年間そのままおなかの中にいると考えられています。大きさ約1メートル、体重約30キログラムまで大きくなってから生まれてきます。
それでは、生まれてくるまでどのように成長するのでしょうか。
まず母ザメのおなかの中でミルクを飲んで成長します。そしてある程度の大きさになると、今度はおなかの中で母ザメがあたえる無精卵を食べるようになるのです。
無精卵とは、受精していない卵のこと。母ザメは、この無精卵を離乳食のように胎児にあたえています。
(ホホジロザメが生まれるまで)
・ネコザメ(ネコザメ目ネコザメ科 大きさ約1メートル)
目や頭の形がネコに似ているネコザメは、とてもおとなしいサメです。砂の中や藻場にいるエビやカニ、貝などを食べるため、口は下向きについており、前歯と奥歯では形が違います。トゲトゲした前歯は貝などの獲物をひっかけるために、ひらべったい奥歯はそのかたい殻をくだくために使われています。
(ネコザメの卵)
ネコザメは、ドリルのような変わった形をした卵を産みます。母ザメは、このドリルのような卵を口にくわえて運び、砂の中や岩、海そうなどに卵をねじ込んで、流されないようにピッタリと固定させます。固定させやすいように、このような変わった形になっているのです。
・ノコギリザメ(ノコギリザメ目ノコギリザメ科 大きさ約1.5メートル)
その名のとおり、ノコギリのような口先が特徴的なノコギリザメ。この口先は、体の4分の1もの長さがあります。ノコギリのように何かを切るために使うのではなく、砂の中にかくれている生き物を見つけたり、獲物を刺して弱らせたりするために使います。
・トラフザメ(テンジンクザメ目トラフザメ科 大きさ約2.5メートル)
(トラフザメの成魚)
トラフザメは長い尾びれが特徴的で、その長さは体の半分ぐらいにもなります。
夜行性で、夜になると貝や小魚などを探して食べます。
(トラフザメの幼魚)
トラフザメは幼魚(子ども)と成魚(大人)で、模様がまったく違います。幼魚のときは白黒のシマシマ模様ですが、成魚になるにつれて茶色の斑点模様に変わります。幼魚時代の模様をシマウマにたとえ、英語では「ゼブラ(シマウマ)シャーク(サメ)」と呼ばれています。
・ヨシキリザメ(メジロザメ目メジロザメ科 大きさ約3メートル)
背中がきれいな青い色をしていることから“世界一美しいサメ”といわれるヨシキリザメ。
ヨシキリザメをはじめ、海面近くを泳ぐ魚の多くは、背中は青く、おなかは白い傾向があります。上から見ると海のように、下から見ると空のように、まわりにとけこんで、敵から見つかりにくくするためだと考えられています。
現在、サメの数が急激に減っていることが知られています。なかでもジンベエザメやアカシュモクザメなどのサメは、地球から完全にいなくなってしまう恐れがある「絶滅危惧種」に登録されています。もしこれらのサメがいなくなってしまうと、「食物連鎖」が崩れて、ほかの海の生き物にも大きな影響がおよびます。
食物連鎖とは
食物連鎖とは、生き物たちの「食べる」と「食べられる」のつながりをいいます。
海の生き物の食物連鎖を下のイラストといっしょに見ていきましょう。私たちの目では見ることができないほど小さな植物プランクトンが動物プランクトンに食べられることで、食物連鎖がスタートします。その動物プランクトンは小魚のエサとなり、その小魚は大きな魚に食べられてしまいます。そして、大きな魚はサメに食べられてしまいます。
(海の食物連鎖)
もしサメが絶滅してしまうと、それまでサメに食べられてきた大きな魚は増えますが、その結果、大きな魚が食べる小魚が足りなくなり、大きな魚は生きていくのがむずかしくなるでしょう。また小魚が減ると、小魚に食べられていた動物プランクトンは増えますが、動物プランクトンに食べられていた植物プランクトンは減ってしまいます。
食物連鎖は、自然界のバランスを保つためにとても大切な仕組みです。
実際には、サメは大きな魚だけではなく、小魚やプランクトンなどいろいろなものを食べているので、サメが絶滅してしまうと、多くの種類の生き物に影響が出て、自然界のバランスが崩れてしまう可能性があります。
サメも海の食物連鎖を支える大切な仲間なのです。
サメの命を守ることは、海の生態系を守ることにつながります。では、わたしたちはサメの命を守るために何ができるのでしょうか。
それは、海のしくみやサメの生態について考えることです。まずは海や海の生き物に興味をもつことが大きな第一歩。
今回の記事には7種のサメが登場するぬりえがついています。ぬりえを楽しみながら、さらにサメに興味をもってもらえるとうれしいです!
※「サメのぬりえ」のダウンロードは、下記リンクからどうぞ!
・印刷してぬる場合
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・PCやスマホ、タブレットなどのペイントソフトでぬる場合
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