オクトーバーフェスト到来!ビールに合う魚は?ドイツお魚事情

世界最大級のビールのお祭り、オクトーバーフェストのシーズンになりました。日本でビールのお供といえば枝豆や唐揚。魚だったらシシャモやホッケでしょう。ではビールの本場・ドイツでは、どんなお魚料理? ビールのお供を調べてみると、ドイツの地理と歴史が大きく関わっていることがわかりました。お家で手軽にできてビールに合うドイツ風(?)のお魚料理も紹介します。

世界最大級のビールのお祭り、オクトーバーフェストのシーズンになりました。ドイツ南部バイエルン州の州都、ミュンヘンで開かれるお祭りです。去年と一昨年は新型コロナウィルスの影響で中止となっていましたが、今年は3年ぶりに、9月17日(土)~10月3日(月)の期間に開催されました。巨大テントのビアホールで楽しむビールとグルメ! いつかは行ってみたいですね。

日本でビールのお供といえば枝豆や唐揚げ。魚だったらシシャモやホッケでしょう。ではビールの本場・ドイツでは、どんなお魚料理?

ビールのお供を調べてみると、ドイツの地理と歴史が大きく関わっていることがわかりました。お家で手軽にできてビールに合うドイツ風(?)のお魚料理も紹介します。ぜひ最後まで楽しんで読んでください。

ドイツお魚歴史紀行

(ドイツの位置)

ヨーロッパ大陸のほぼ中央に位置するドイツ。日本にいる私たちがイメージするドイツの自然というと“黒い森(シュバルツバルト)”のような深い森でしょうか?、しかしドイツの北部には海岸線があって、北海とバルト海に面しています。

海に面したドイツ北部は、新鮮で美味しいシーフードに恵まれています。北海で獲れる小エビのロールパンサンド、北海の町キールの名が付いた小さなニシン「キーラ―・シュプロッテン」、日本でもおなじみの「スモークサーモン」などが有名です。 ドイツでは“魚の燻製”が人気で、スモークサーモン以外にも魚屋さんには沢山の燻製が並んでいます。これは内陸の大きなドイツで、昔は保存のために燻製が行われていたためです。日本でいう干物のような存在です。また、燻製のほかにも塩漬けや酢漬けも好まれています。

中近世のヨーロッパでは、ニシンやタラが貴重なタンパク源でした。保存には内陸の都市リューネブルク産の塩が使われていたそうです。世界史でおなじみのハンザ同盟の繁栄を支えたのがニシンと塩といわれています。

(ニシンの酢漬け)

ニシンの酢漬けは特にドイツではポピュラーな食材です。鉄血宰相として名高いオットー・フォン・ビスマルクに献上され気に入られたことから、ビスマルクへリングの名でも知られています。

中南部の地方では、淡水魚のコイは、クリスマスシーズンに伝統料理として食べられるほか、コイの揚げ焼きが名産となっています。

現代ドイツのお魚統計

(ドイツ・ベルリンのスーパーマーケット)

地理と歴史に関するドイツとお魚の関わりの次は、統計データから、ドイツとお魚の関わりを探ります。

現在、ドイツの市場で売られている魚(水産物)の割合は、海水魚がほぼ6割、淡水魚が3割、甲殻類や軟体動物が約1割です。

水産物の売上高ベスト5は、1位サケ、2位マグロ、3位スケトウダラ、4位ニシン、5位エビ。1位~3位は僅差でよく入れ替わっています。

個人の製品別消費量は、缶詰などの保存食が28%(ツナ缶、ニシンの缶詰や酢漬けなど)、冷凍の魚が24%、鮮魚12%、甲殻類と軟体動物15%となっています。魚の燻製が10%もあり、塩漬け・酢漬けの人気も統計には表れています。

(出典:FIZ HPより fishinformationcenter(ドイツ語))

ビールとのペアリング、お家で手軽にドイツの味(?)を!

料理とお酒を組み合わせることをペアリングといいます。お互いを高め合う組み合わせは、食の楽しみを増やしてくれます。しかし、実はビールと“生の魚介類”はペアリングが難しいといわれています。

理由としてあげられるのは、淡色系のピルスナーなどの下面発酵ビールには微量の硫黄臭があり、それが魚介の生臭さと掛け算となってしまうことがあるからです。
とはいってもがっかりするには及びません。スパイスやハーブを使った生臭さを消すような料理にするか、ビールを濃い色のビール、またはヴァイツェンなどの上面発酵ビールにして合わせれば、素晴らしい相乗効果を堪能することができます。

(シュテッカルフィッシュ)

最後にドイツで人気の、しかも日本のお家で簡単に楽しめるビールの肴を紹介しましょう。ドイツのビアガーデンやお祭りで定番の魚料理に“シュテッカルフィッシュ(串刺し魚)”という料理があります。

ドイツ語ですが、勘のいい方はなんとなくピンときたかもしれません。これは串に刺した魚を炭火で焼いたもの。魚の内臓を取って串に刺し、皮目に切り込みを入れたあと全体にオイルを塗り、塩とスパイスやお好みのハーブ、レモン汁などを振りかけて作ります。お店や作る人よっては、すこしの間漬け込んだりして、それぞれこだわりのレシピがあるようです。昔は主に淡水魚を焼いたようですが、現在は魚の種類が増えていて、サバが一番のおすすめだそうですよ。

もちろん、家でサバ一尾を串に刺し、炭火で炙るのは大ごとです。かわりに私たちも手軽に買える“塩サバ”を焼いて、美味しく脂ののった身を味わいながら、キンキンに冷えたビールを飲む!――というのはいかがでしょう、もっとドイツ風に楽しむなら、お好みのハーブかけたり、オイルを塗ってみるのも一興ではないでしょうか。どちらも止まらなくなりそうですね。

3年ぶりに開催されるドイツの世界最大のビール祭、オクトーバーフェスト。最近は日本でも各所で開催されています。お魚をテーマにドイツの地理と歴史を巡りましたが、以外にも最後は、私たちの身近なお魚と再会しました。日本でも美味しいお魚とビールでプロースト!(乾杯)しては、いかがでしょうか。