(洋上でのスケトウダラ)
「明太子」と言えば「博多」を連想する方は少なくないと思います。実際に、明太子を加工する工場がいくつもありますし、空港や駅のお土産などでもたくさん売っていますね。
ところで、不思議なことがあります。それは、明太子の親の魚は、九州では水揚げされないということです。卵を持った親の魚が水揚げされないのに、なぜ博多で明太子なのでしょうか?
そもそも、明太子の親は何の魚かご存知でしょうか?その答えは「スケトウダラ」です。
スケトウダラと言えば、アラスカやロシア、そして北海道といった北の海で獲れる魚なのです。カマボコやチクワといった練り製品の原料となるスリミ。そのもとになっているのがスケトウダラです。身はスリミやフィレー、卵は塩タラコや明太子になる日本人にとって欠かせない魚です。
今では、明太子が全国で売られていますが、もともと東日本では、明太子ではなく「塩タラコ」を食べる文化があります。日本で水揚げされるスケトウダラが減少し、今ではその原料としてのタラコは、主にアラスカやロシアで漁獲されたスケトウダラから取りだして冷凍し、それを日本に輸出して加工されるという形になってきています。
そして、同じ冷凍タラコの原料でも、北海道を含む東日本では主に「塩タラコ」として、博多を含む九州では主に「明太子」として加工されているという特徴があるのです。
なお、「タラコ」も「数の子」と同じで、主な市場は日本です。アラスカで水揚げされたスケトウダラから取りだされたタラコの冷凍原料が、アメリカのシアトルで、オークションで競って買い付けられます。そしてその卵が加工されて、皆さんの食卓にも並んでいるのです。
(冷凍する前の生のタラコ・アラスカの工場にて)
もともとは、第二次世界大戦後、博多に引き揚げてきた日本人が、韓国(当時は朝鮮)で唐辛子を使ったスケトウダラの卵を使った伝統料理を博多に持ち込み、日本人の味覚に合うように作り始めたものがはじまりと言われています。福岡市内を中心にメーカーが増え、1975年の山陽新幹線の博多乗り入れを契機に、全国にその名が知られるようになったと言われています。スケトウダラを朝鮮で「ミョンテ」と言い「明太」と書くことから、その子(卵)を「明太子」と名付けられたそうです。
アツアツ炊き立ての白いご飯に明太子、本日の食卓にいかがですか?