日本で一番高い山は富士山、一番大きい湖は琵琶湖、一番長い川は信濃川。
日本の地理の一番はよく知られていますが、日本で一番獲れる魚はどんな魚かご存じですか?
令和2年の海面漁業魚種別漁獲量をみると、日本で一番獲れた魚はマイワシです。次にサバ、ホタテガイが続きます。
(出典:農林水産省 海面漁業生産統計調査(単位/千トン))
マイワシはニシン目・ニシン科に分類される、回遊性の海水魚です。
生後2年程で18~20cm位になります。寿命は7年程度、最大で25cm位になります。
日本でイワシというと、マイワシの他、カタクチイワシ、ウルメイワシが挙げられます。
カタクチイワシはちりめんじゃこや煮干し、アンチョビなど、ウルメイワシはメザシや煮干しなどにして食べられています。
マイワシは漁獲地域によりずれはありますが、おおむね初夏~秋頃が旬の魚。
特に6月~7月頃に銚子をはじめ関東付近で獲れるマイワシは「梅雨いわし」や「入梅イワシ(にゅうばいいわし)」と呼ばれ、脂がのり始める頃の、旬のマイワシとして親しまれています。
また、9~10月頃からの釧路などで獲れるマイワシも大型で脂がのっており、こちらも絶品です。
マイワシは刺身はもちろん、焼き物やフライ、煮物やマリネ、つみれなど、いろいろな料理で楽しめます。
手軽に食べれられる方法として、マイワシを丸のまま焼くのはいかがでしょうか?サンマの様に醤油と大根おろしで食べるのもおススメです。
(イワシの塩焼き)
目が黒く澄んでいて、身に張りがあり、鱗が多く残っているのが鮮度の良い証拠。頭が体に対して小さく見え、身厚なマイワシをスーパーや魚屋さんで見つけたら、ぜひ家で食べてみませんか?
(マイワシ)
マイワシは骨も身も柔らかく、扱いやすい大きさのため、他の魚に比べるとさばきやすい魚です。
しかし傷みやすい魚でもあるので、買ってきたその日にさばいてしまいましょう。
動画中の尾付きの開きはイワシフライなどに、3枚に卸したものはソテーや刺身などが向いています。
刺身で食べる時は表面の薄い皮をむきます。
当日に食べきれない量をさばいた場合は、冷凍保存が有効です。
身が空気に触れないようラップなどで身を包みます。冷凍庫の開け閉めの頻度や庫内温度、保存状態にもよりますが、冷凍保存でも数日以内に、出来るだけ早めに食べきりましょう。
マイワシはブリやボラなどと同様に出世魚で、大きさによって呼び方が変わります。
呼び方や大きさの分類は地域などにより異なりますが、
1cmほどの稚魚をシラス、5~10cmほどのものは、カエリやヒラゴ、10cm位のものは小羽(コバ)、15cm位のものは中羽(チュウバ)、20cm以上のものを大羽(オオバ)となどと呼んでいます。
(釧路の大羽イワシ缶詰)
漢字でイワシは「魚」へんに「弱い」で「鰯」と書きます。
「弱」の形が若干異なるのは、旧漢字を当てはめているためです。
一説では、イワシは外圧に弱い魚で鮮度が落ちやすく、水揚げ時に鱗がパラパラと落ち、傷んでしまうことから「弱し(よわし)」と呼ぶようになり、これが転じて「イワシ」となったと言われています。
また、イワシは他の魚に食べられてしまう弱い魚ということからという説もあります。
イワシは群れを成して泳ぐ魚です。一尾では弱いため群れになり、一つの大きな魚に見えるように集団行動をとっています。
イワシの鱗がはがれやすい仕組みとなっているのは、敵に襲われた時、はがれた鱗で敵をかく乱させ、自身を犠牲にして仲間を逃げさせる役目もあるそうです。一概に弱い魚とは言えないのかもしれませんね。
マイワシは太平洋系群と対馬暖流系群の2つの系群に分けて資源管理をしています。
マイワシの漁獲量の9割以上を占める太平洋系群の漁獲量は、1970年代後半から増加し、1980年代は250万トンまで増えました。しかし1990年代に入ると激減し、2000年代は最盛期の100分の1ほどにまで落ち込みます。2010年代に入ると再び増加傾向に転じ、2019年は52.1万トンでした。
資源の年齢組成を尾数でみると、0歳(青)、1歳(緑)を中心に構成されています。近年は加入量(0歳の資源尾数)が多く、2歳以上も増加しつつあります。
(出典:マイワシ 太平洋系群 令和2年度魚種別資源評価(119魚種))
もう一方の対馬暖流系群のマイワシも、太平洋系群と類似の推移となりますが、2019年は1.4万トンに急減しました。
(出典:マイワシ 対馬暖流系群 令和2年度魚種別資源評価(119魚種))
マイワシをもっと食卓へ
マイワシは日本で獲れて、手軽に食べられる魚です。
マイワシにはサバと同様、脂質の一種であるDHAやEPAが豊富に含まれています。
100gあたり | DHA (mg) | EPA (mg) | 脂質 (g) |
まいわし/生 | 870 | 780 | 9.2 |
まさば/生 | 970 | 690 | 16.8 |
2600 | 1800 | 26.8 |
(出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂))
マイワシの資源をこれからも守りつつ、マイワシの美味しさを楽しみましょう。
日本で一番獲れている魚、マイワシを旬のこの時期に、今晩の夕食のおかずなどに取り入れてみてはいかがでしょうか?
(マイワシの刺身)
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